プレゼンテーション上手な彼女

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「ほんまに話の展開がグフフッ♥なん?」 「うん!もちろん!」 「バス乗ってるのって2時間半の予定やったっけ?」 「うん」 「バス乗ってる間に読み終わる?」 「うん。むっちゃ余裕!」 「むっちゃ余裕…」 私の心の天秤が遂に【読む】に振りきれた瞬間! 「うーん…じゃぁ、暇潰しに読んでみよっかな?」 「読んでみて!暇潰しで読んでる途中にドキドキしすぎて、心臓潰されてるで、きっと!」 「ほんまかいな!しょーもなすぎやー!!って本潰してるかも?」 「ありえへん!ドキドキで心臓潰されてるって!…まぁ、気軽に?マンガ読んでるみたいに読んでみて!じゃぁ、はい、どうぞ!」 と言って、真新しい本を渡してくれました。カバーを見ると『はずんで♥LOVEボ~ル⚾️』とタイトルが下の方にあって、画面いっぱいにかわいい女子高生とかっこいい男子高生が部活帰りでラブラブしている様子のイラストが少女マンガっぽく描かれていました。 「ゆーみさんは、読む本あるの?どうするの?」 「ん?私?もちろん!違う本読むつもりでちゃんと持ってきてるで。『はずんで♥LOVEボ~ル⚾️』と他に四冊、合わせて五冊持ってきてん。行きしな大きな荷物カバン、むっちゃ重たくって、しんどかったわ~!」 と言いながらひざの上に置いているパンパンの小さいカバン(さっき水筒出したのにまだパンパン!)を見せてくれた。 「バスのトランクルームに大きな荷物カバンを入れる前に車内用の小さいカバンにバスの中で食べるお菓子とお茶と五冊の本入れて、カバン、パンパン!お菓子潰れてるかも!?」 「えっ?まじで…?」 カバンの中から残りの四冊の本を出して彼女の前座席についているテーブルに積んだ。ついでにお菓子も数種類出して、私の前座席のテーブルに置いてくれたゆーみさん。 「お菓子、潰れてるかもしれへんけど勝手に好きなん食べてな…。さて、何読もっかなぁ…」 と、自分の世界に入っていくゆーみさん。 私は、そんな彼女の横で少しドキドキしながら『はずんで♥LOVEボ~ル⚾️』の表紙を捲り始めた。
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