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「えっ?そ、そんなん食べ、食べ、食べてるんや…。お、お肌、どおりでトゥルントゥルンやと思った…」
(お、お母ちゃん!そ、そんなん食べてるん?…ウソやんっ!?)
「なんかミキ、しゃべり方変とちゃう?なんか無理矢理言ってへん?」
(あっ…ヤバい…ホンマにそんなん食べてるなんて思ってへんし、頭回らへん!ヤバい!)
「そ、そんなことないで!お、お母ちゃんのお肌あんまりにもキレイになってるし、急に驚きが湧いてきてん。ほんで体の中が沸騰してきて、しゃべり方が変になったんやと思うわ!えーっと、ほら!お水、ヤカンで沸かすやん?沸いて沸騰したら、湯気出るやん?その湯気、イコール、今の私のしゃべり方…なんとなく分かるかな?お母ちゃん」
(な、なに喋ってるんやろ?自分でもワケわからへん…こ、これで、いけたかな…??)
「お、驚きって湧いてくるもんなん?知らんかったわ…。ミキが、そんなしゃべり方になるのも分かった気がするわ…それだけ効果あったんや!嬉しいわぁ」
(お母ちゃんごめん!全然肌変わってない…って言うか、そんなん食べて肌キレイになるように努力してるの、今聞いてへんかったら、分からへんかった…お母ちゃん単純でよかったわ…)
「あっ…お母ちゃん、お小遣いの前借りしていい?」
ここぞとばかりに話を修正して、お母ちゃんにもう一回聞いてみた。
「あっ!そうやった!本買いたいって、確か本嫌いやったやんな?それが合宿から帰ってきたら、本買いたいからお小遣い前借りさせてって、…合宿中、なんか変なもん食べた?大丈夫?」
「合宿中、変なもん食べてへん。変なもん食べてたら、顧問の先生から家に連絡入ってるわ。あと、本嫌いやったけど、友達のおかげで大好きになってん。それで本買いに行きたいんやけど、お金足りひんから、お小遣いの前借りしたいねん」
「うん。本買いたい理由は、分かった。ちなみに変なもん食べたかって言う質問は、ちょっとしたジョークや、ジョーク!お小遣いの前借りしなくてもいいで。お母ちゃん、丁度図書券持ってるし、それあげるわ。なんと、五千円分!すごいやろ~!」
「えっ!お母ちゃん、図書券なんて持ってたんや!それ私にくれんの?嬉しい!五千円もあったら、むっちゃ買えるー!ありがとう!」
「まだ、渡してへんのにお礼は早いでー。ほんで、五千円分丸々渡すとは言ってへんでー。今すぐ本屋さんに行くの?」
「うん、今すぐ行くって言うか、行きたい!
ほんで、手洗い・うがいしいひんかってん」
「そうやったんや。わかった、待っとき。今から図書券持ってくるわ!」
そう言って、私の返事も聞かずリビングに続くドアを開けっぱなしにして、中へ行ってしまった。一人になった私は、肩に掛けていた大きなカバンを上リ口の端に置いて、チャックを開けてバスの中で使っていた小さめの水色のカバンと水色のチェック柄の財布を取り出した。カバンの中に財布を入れて左肩に掛けてお母ちゃんを待った。
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