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さすがすぎるよ佐渡 蒼一。
本当にムードも何もない。
状況を考えてよバカ…。
さっきの言葉だって、あんなの受け取る人によっては“プロポーズ”なんて言われるかもしれないのに、ドラマチックとは正反対だ。
「んぅ…!ふっ、んん…っ」
どうしてして欲しいときにしてくれなくて、ぜったいして欲しくないときにしてくるの。
逃げようとしたって強引にも塞がれて、つうっと唇の端から垂れるほど、激しく繰り返される。
医者が患者にするキスじゃない。
バカ、へたくそ。
「…っ、…さいてい……だよ」
「…前もしただろ」
まえ…?
前って、あの日、先生が風邪引いたときのこと言ってる…?
「わ、忘れたって…っ」
「そんなドラマみたいなことあるかよ」
「……うそつき…」
意識があってして、意識が無かったふりをして、ずっとずっと私を騙していて。
私が悶々としている様子を高い場所から笑っていたんだ、この男は。
天罰だ。
下されるならこいつに下されるべきだ。
「センセ、どこ…いくの」
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