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車を発進させ、茉莉花の実家へと向かう。
今日は二人で茉莉花の実家に挨拶に行くためだ。
「…あの、前にも言いましたけど、ほんとに驚かないで下さいね?」
「一応心構えはできてます。…でも、未だに信じられないというか…」
「あ、はは…。ですよね…」
茉莉花は付き合うことになった上で、自分のとある『秘密』を龍也に打ち明けていた。
それは───母のことだった。
「九賀 美織さんがお母様だと聞いて、最初は驚きましたよ。言われてみれば、あなたは瓜二つですね」
「いや、全然です!似てるなんて言われたことないし…。お母さんも一応、世間には結婚と子供がいることは公表してるけど、あたしたちは一般人として暮らしてるから、親子関係のことは大切な人以外には言ってなくて…。あ、ちなみに藍音や幼なじみは知ってます」
「そっか、それなら当然だね。お母様は本当に家族を大事にされてるんだな」
「まぁ、そう…だと思います。でも…結構厳しくて、怖いですよ?」
「ふふっ。厳しいのはきっと、君のためを思って言ってくれてるんだよ」
龍也が微笑みながら言う。
「俺もそうだったな。母親も父親も優しいけど、厳しいとこもある人だったから」
「そう、だったんですね…。今度ご挨拶に伺った時、あたし…ちゃんと受け入れてもらえるでしょうか…?!」
焦る茉莉花に龍也は優しく微笑んだ。
「茉莉花さんはそのままで大丈夫。きっと母さんも父さんも気に入ってくれるから。寧ろ、俺にこんな可愛くて素敵な彼女がいるんだって驚くよ」
「だ、だといいんですが…」
「まずは俺が頑張る番なので、今日は茉莉花さんは見守っててくださいね」
「は、はい…」
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