死神の罪禍

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 女は美術館で、大きな絵画を見ていた。その絵画は、有名な画家の描いたものだ。その画家は、生涯同じ人物の絵ばかりを描き続けたことで有名であった。  絵画に描かれている人物は、女に瓜二つである。女には、何故目の前の絵画に描かれている人物が自分と瓜二つなのか分からず、そっと首を傾げた。  絵画の下には、絵の題名と説明文が書かれている。  絵画の題名は、 「妹」  一人の老人が、キャンバスに絵の具を乗せている。吹き込むそよ風に、白いレースカーテンが揺れて薄い影を落とした。  女は、老人の背後から絵画を覗いた。自分と瓜二つの女性が描かれているのを見て、やはり不思議な、どこか懐かしいような思いがした。  老人が、振り返る。女に気が付くと、老人は皺の寄った目元に更に皺を寄せて、嬉しそうに微笑んで言った。 「やあ、また会えたね」
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