あの角を曲がって

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そうして次の日、あたしは悟った。 駅から家までの道。クリーニング店、じゃないけど美容院が見えたら。コンビニと花屋さんを過ぎたら。あたしは駆け出す。そして――あの角を曲がって見えるもの。 窓から遥が顔を出していた。小さく手を振って、「おかえり」と言う笑顔。 その仕草。表情。それは―― 懐かしさでいっぱいになった。 ようやく。 ――また会えたね。ううん、とっくに会えてたんだね、お母さん。 (完)
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