6人が本棚に入れています
本棚に追加
私に声をかけてくれた女の人は、歩美と名乗った。そして、自分自身が店長の喫茶店で休憩していかないかと誘われる。
「でも私、約束があって・・・」
「そっかぁ。で、どこ行くん?」
「時空の広場です」
「え、時空の広場?ここと逆にある場所やん」
嘘でしょ。私はショックからか、くらっと立ちくらみがした。そんな私の腕を、歩美さんがしっかりと掴んでくれた。
「危ないなぁ。約束あるって聞いたけど、やっぱり休憩していき」
「す、すみません・・・」
「謝らんでええよ。こういうときは、素直に甘えたらええんやから」
と、歩美さんは微笑んだ。そして、喫茶店までの道のりで、歩美さんに色々と質問された。
「約束って友達と?ええっと、何ちゃん・・・」
「麻耶です。お父さんと待ち合わせているんです」
「そっか、お父さんと。ってことは、お父さんと離れてるんやね。久しぶりの再開かな?・・・ってこれは聞きすぎやな」
ごめん。と、歩美さんは私に向かって手を合わせてきた。私は首を横に振り、転勤なんだと伝えた。
すると歩美さんは急に足を止めて、目の前のガラス張りの店を指差した。
「ここがわたしの店。喫茶インフォメーション」
喫茶店なのか、案内所なのか、どっちなのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!