喫茶インフォメーション

2/5
前へ
/5ページ
次へ
 私に声をかけてくれた女の人は、歩美(あゆみ)と名乗った。そして、自分自身が店長の喫茶店で休憩していかないかと誘われる。 「でも私、約束があって・・・」 「そっかぁ。で、どこ行くん?」 「時空の広場です」 「え、時空の広場?ここと逆にある場所やん」  嘘でしょ。私はショックからか、くらっと立ちくらみがした。そんな私の腕を、歩美さんがしっかりと掴んでくれた。 「危ないなぁ。約束あるって聞いたけど、やっぱり休憩していき」 「す、すみません・・・」 「謝らんでええよ。こういうときは、素直に甘えたらええんやから」  と、歩美さんは微笑んだ。そして、喫茶店までの道のりで、歩美さんに色々と質問された。 「約束って友達と?ええっと、何ちゃん・・・」 「麻耶(まや)です。お父さんと待ち合わせているんです」 「そっか、お父さんと。ってことは、お父さんと離れてるんやね。久しぶりの再開かな?・・・ってこれは聞きすぎやな」  ごめん。と、歩美さんは私に向かって手を合わせてきた。私は首を横に振り、転勤なんだと伝えた。  すると歩美さんは急に足を止めて、目の前のガラス張りの店を指差した。 「ここがわたしの店。喫茶インフォメーション」  喫茶店なのか、案内所なのか、どっちなのだろうか。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加