喫茶インフォメーション

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 歩美さんに促され、店に入る。そこはテーブル席が一つと、焦げ茶色のカウンターの前にある椅子は四つの、小さな喫茶店。  でも、普通の喫茶店とは違うところがある。右手には、真っ白なカウンターがあり、インフォメーションと書かれているのだ。 「左側は喫茶店で、右側は案内所。迷ってる人は、一旦ここで休んでほしいって思いで、こんな感じに」 「喫茶店と観光案内所。いい組み合わせですね」  足が疲れているから、休憩しながら場所も教えてもらえるなんて、方向音痴な私にとっては最高の場所だ。 「ここ、コーヒーしかないねんけど・・・、いい?」 「はい!いただきます!」  私がそう返すと、歩美さんはカウンター前の椅子を勧める。私はその席に座った。  すると、一つ空けてカウンターに座るおじいさんに話しかけられる。 「なんや、迷子か?」 「はい、お父さんと待ち合わせしているんですけど、逆方向に来てしまったらしくて・・・」 「お父さんとか。どこで待ち合わせや?」 「時空の広場です」  その場所を言うと、おじいさんは目を丸くした。 「それは・・・、確かに逆方向やな」 「もう、自分の方向音痴が嫌になります」 「う〜ん。この場所では、方向音痴あまり関係ないんとちゃうかな」  私達の会話に入ってきたのは歩美さんで、コーヒーを置きながらそう言った。
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