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》二時、時空の広場に集合しよう
昨日届いたメッセージを見ながら、私は泣きそうになっていた。
「もう一時半じゃん。どうしよう、時間になっちゃう」
私が今いる場所は、大阪駅のよく分からない場所。関西人でも迷ってしまうと有名な所だ。
私は普段、関東に住んでいるのだが、今回は久しぶりに転勤中のお父さんと会うため大阪に来ている。そしてこのメッセージはお父さんからきたもの。
そして私はここに来る前、梅田はどんな場所なのか、予習に予習を重ねた。迷子になりやすいということも、もちろん学んだはずなのだが。
「う〜、分かってたよ。分かってたけどさ・・・」
そう、私は完全に迷子になってしまったのだ。
私は歩く人に、時空の広場までの道のりを聞きたいのだが、その一歩が踏み出せない。足を踏み出そうとしては戻すを繰り返しているため、周りから見ると、私は前後に揺れている変な人に見えているかもしれない。
私は足を止めてスマホを見る。お父さんにはメッセージも電話もしたのだが、繋がらなかった。
大きくため息をつく。私がここまで方向音痴だとは思わなかった。
途方に暮れていると、私の肩をぽんぽんと叩かれる。
「大丈夫?迷ったん?」
顔を上げると、優しそうな女の人が眉を八の字にして私を見ていた。
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