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「いやぁ、雄馬君のお宅は、毎年お菓子が美味しいですな!」
俺は出されたケーキとクッキー、珈琲を遠慮なくいただく。
当然、雄馬君の学校での様子も報告する。仕事ですから。
「雄馬君はクラスのまとめ役で、非常に助かっておるんですよ」
「授業も熱心に取り組んでくれて、こちらも授業し甲斐があるというものですよ!」
嘘は言わない。
ただ、ボス的存在というのを「まとめ役」、間違っていてもうるさいぐらいに手を挙げてくるのを「熱心に取り組む」と言い換えている。
こうして母親の機嫌を上げておけば、来年俺がまた担任になった時でも家庭訪問が楽しみになるというわけだ。
「あの…先生、お時間よろしいのですか?」
母親が壁時計をチラチラ見ながら、遠慮気味に話す。
「おぉ、そうですな。まぁ僕は自転車でかっ飛ばしていくので、そんな気にせんでも大丈夫ですよ!あ、おトイレだけ借りていいですかね」
次がラストとはいえ、確かにかれこれ50分も予定の時刻を過ぎている。
そろそろ急がんとヤバいなぁ。
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