あなたに知ってほしくて

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 イヤホンからジャカジャカ音がする。それはそれはダサい曲だった。狙ってる訳ではなく、ただダサい曲なのだった。私の好きなタイプとは全く違う。私が好きなのはカッコいい男性で、白馬の王子様のような、とにかく素敵な男の人なのだ。 「アンタなんか私の好みの対極に位置するのよ」  私はイヤホンからの雑音にピシャっと言ってやると、一瞥くれてやり、スイッチを切った。 「間違えても好きになるはずないから」  電車の扉が開く。私はシャッと扉から出て行った。  高校はそろそろ受験期というやつなのだろうか、忙しくなってきていて、何とも言えない季節だ。  ターミナルは経由地点。電車を乗り換える。プシュッと扉が閉まる寸前に何とか乗り込み座ることができた。  イヤホンを付ける。自然流れてくるさっきの男の人の歌。あーも。
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