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ここはお堅い神学校、そこから出て少しした所、通学路の途中だ。
ふと横を見ると。君は大粒の涙を流して、泣きじゃくっていた。
「この学校では恋愛は禁止なの」
「大丈夫! 僕は君を愛してる! 必ず君を幸せにして見せる……」
「ほんとかな……」
ミルは少しだけ泣き止んだ。
「さっきのカッコよかったね!」
「うん! 二人のゆく道を照らす街灯……一つ一つ辿るんだ!」
僕らはこの言葉通り、薄暗い夕暮れの帰り道を、薄明りの街灯を一つ一つ巡って、家路を急いでいた。
この時のことを、僕は忘れない。時に切なく時に激しく、君のことを思い出して。
「大丈夫、私もあなたを愛してる。必ず二人で幸せになろうよ」
そう嬉しそうに優しく励ましてくれる君に
「そうだね。二人のゆく道はここなんだ、二人で歩く道なんだ」
そんなことを僕は言っていたのを覚えてる。
君の家に着いて、並木道、街灯、大きな家。キスして手を振り、君を君の親に預けた。
ぼんやり帰り道を歩く僕。数分後、携帯電話が鳴り響いた。
何故か震える手で電話に出ると、叫ぶ君の声が聞こえた。“エリィ”って呼んで、悲痛な苦しさが伝わってきたんだ。それで僕も涙が出てきた。
「エリィ! お母さんが……駄目だって!」
「そんな」
「あなたとは付き合えないって!」
「うそ……」
「ひどいよ! どうして分かってくれないの?」
僕はすぐに君の家まで戻った。大きな塀、さっきキスして手を振り、君と別れた場所、そんなことを思っていた。
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