あなたに知ってほしくて

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それから暫くして、新聞を読んだ。カメラマン達の心無いスキャンダル記事。僕とミルはそれを読み、僕らに安住の地はないと知ったのだった。 「ねぇ……」 「エリィ……」 「言ったよね僕。たとえ世界の誰もが反対しても、僕は君と暮らしたいんだって……」 「そうだね」 「変わり者のうるさい僕と、誰よりも優しい君……」 「うん」  ミルは恥ずかしそうに、二人で住んでいる安アパートの壁に片足付き、ちょっと照れた俯いた顔で、僕の顔を上目遣いで見上げるのだった。 「たとえ世界の誰もが反対しても僕は君と結ばれたいんだ」  二人の家は小さなアパートで、誰彼からも隠れてひっそりと暮らしていた。  ある夜、その時は来てしまって、二人は一線を越えたんだ。君は初めてだったから、ゆっくり時間をかけてしたね。  身重になった君。君のことを守り続けるよ。そう願って数か月がした頃、二人の家、小さなアパートに、誰彼もがある日やって来たのだった。
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