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入口は出口
もう少しここにいたかったけれど、人が多くなってきた。
学生服のままだったので、なんとなく気まずくなってしまって、人気のない方へと歩き出す。
山の中腹に神社の鳥居が見えた。
平日の神社の境内なら静かだろうと思いそちらを目指す。
鳥居をくぐると先程とは確かに空気感が違っていた。
何か、感覚的に護られているような安心感を覚えた。
急に雲行きが怪しくなる。
灰色の低い雲が垂れ込んで来たかと思うと、稲光とともに土砂降りの雨が降ってきた。
慌てて軒下に身を隠す。
さすがに人はいない。
雨がふきこんでくるので、風の裏側になるように、境内の裏へ回った。
強風で吹き飛ばされたブルーシートの下に井戸のような丸い穴に木で蓋がしてある物が現れた。
稲光が走ったと思うと、低い轟音が響いて腹をずしんと叩いてくる。
轟音で窓がビシビシと軋み鼓膜をつんざく。
両手で耳を塞いでやりすごしていた。
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