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背の高い男
男「あれ?」
男と目が合う。
男「げ、人払いしたはずやのに!嘘やろ!やば!見られた」
え?関西弁?
誰?いや何?
目の前の出来事を脳が受け付けてくれず、思考がまとまらない。
焦っているのはあちらのようだった。
男「なにしてん?自分」
耳を塞いでいたので聞き取りにくかったけれど、どうやらわたしに話しかけているらしい。
男「まずいなぁ、なんでやろ、気配なかってんけどなぁ」
そういうと、男はあらかじめ用意していたかのように、井戸のそばにあった木箱の中から衣服を取りだし、身につけだした。
男「記憶消すやつ、持ってへんしなぁ、どないしよ」
男はわたしに見つかってしまったことをどうにか無かった事にしたいらしかった。
「誰にも言いませんよ、というか言えません」
男「そんな保証どこにあるん?」
「今日でわたし、この世から居なくなるので」
男「は?」
「生きてるのがしんどくなっちゃって、死に場所を探してたんです」
男「ふーん、それで生命反応薄かったんか」
「なので、気にせずにどうぞ」
男「いや、それは見届けんとあかんな」
「え、、死ぬところ、見るんですか?」
男「この時代のやつらには、まだ知られる訳には、、」
「なら、手を下しますか?」
男「記憶さえ消せれば問題ないんやけどなぁ、さっきつこてしもたしなぁ」
「記憶を消すアイテムがあるんですか?」
男「そう、まぁ、取りに帰ってもええけどな」
「待ってましょうか?」
男「その間に誰かに漏らされても困るしなぁ、はぁ、、めんどくさ」
目の前の男の言っていることが本当だとしても、嘘だとしてもかなり危ない状況なのだが、死のうとしてる人間が、何を恐れているんだろうとも思ったり、上手く考えがまとまらないまま口をついた言葉は。
「じゃあ、ついて行きます」
だった。
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