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2123
目を覚ました。
懐かしい音がする
ピアノかな、、なんて曲だったかな、、これ。
とてもいい香りがした。
明るすぎず暗すぎず、心地よい。
ゆりかごにいる赤ちゃんみたいに心が安らぐ。
起き上がると知らない空間にいた。
ワンピースのようなものを身につけていて、制服はどこにも見当たらなかった。
天窓があり、青い空が見える、他に何も見えない。
淡いグリーンの壁。
ダークブラウンの床。
森の中にいるみたいだった。
「あれ?」
まるで水の中にいるように身体が軽い。
立とうとするが、上手く立てない。
バランスをとりながら身体を立て直した。
男「自分、なんで痣だらけやったん?」
背後から男の声がした。
背の高さは変わらないが、髪は結われているのか、短く纏められていた。
「あ、、」
身体中についていた痣が、ひとつ残らず消えていた。
「え、なんで?」
男「AIR、、あ、えっと自動回復装置に入っとったから、正常に戻されてるはず」
彼がわたしに分かりやすいように言い換えてくれているのがわかった。
「ありがとう」
男「まぁ、チャージできるまではゆっくりしときや」
「ここってどこなんですか?」
明らかに自分がいる世界とは違っているのはわかる。
男「どこっていうか、西暦ってのでいうと、2123年のどこか」
「え、、100年も未来?」
男「まぁ、そんなとこやな」
「記憶、消さないんですか?」
男「元の世界に戻ってからやないと、ややこしいやろ」
「記憶消すアイテムはあるんですか?」
男「あるで」
「戻りますか?」
男「あと24時間経過せんと使われへんねん、移動装置な」
「色々制約があるんですね」
よくよく見ると、背の高さは変わらないのに、表情は少年のような青年のような成人のような定まらない顔つきをしていた。
男「戻ったら死ぬねんな?」
「そういうことになりますね」
男「死ぬくらいの気持ちあんのやったら、いっそこっち来たら?」
「え?」
男「教育プログラムのソフトダウンロードすれば特にその学校というところで得られる知識は習得可能やしな」
「過去のわたしはどうなるんですか?」
男「最初から生まれてなかったことになるな」
「え、、」
この記憶は?育ってきた環境から得た様々なものは?
それも消えてしまうの?
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