この木なんの木

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「なっ、なな、何が起きているのですかご主人様」 「いっ、いい、いや、僕にはさっささ、さっぱり」  確かこの地域は地震など起きないはず、僕は軽く跳躍すると眼下の街の建造物が揺れているか確認する。揺れていない。  じゃあ、コレは一体っ?  ん? おかしい、あのカウリのパウロの木が幾分が高くなっている気がする。目の錯覚だろうか? 「ほぉっほおっほっほっ、いや~~地中は窮屈じゃわい」 「はっ、へっ、えっ、あっああ、足ぃいいいいいいいい」 「ほぉっほおっほっほっ、何を驚いておるのじゃ、木にも足はあるぞ」 「いや、そうじゃなくって、何で二本足で立ってるんですか?」 (いや、普通の木には足なんてないだろう……) 「目が有るよ、ご主人様!?」 「目、目、目、目だってぇえええええ」 「ほぉっほおっほっほっ、木にも眼は有るにきまっておろう」 (芽の間違いじゃないのか) 「いやいやいや、芽はあるだろうけど普通そっちの眼は無いから……」  動く木って、動物じゃないのかよっ。さっきまで動いていなかったから、植物として認識してしまっているとしたら、これはこれで索敵眼の欠点だと言える。そうじゃないなら、動いても植物は植物と分析してしまうなら、今後の索敵時の修正課題ともなるな。 「一体全体あなたは何者なんですか?」 「じゃあから、カウリのパウロじゃと言うとるじゃろう、よ~~っこらせ」  ドズ――――ンンンン  ――――――――vvvvv ―――――vvvv―――――――――vvvvv  いやいや、木が胡坐をかくとか聞いたこと無いんですけど……。  しかし、別にこの木のお爺さんはすっとぼけているわけではなさそうだ。本当にただの木なのだろう。それにしても何時頃から動けるようになったのだろうか? 「あの、パウロさん?」 「ご主人、どうやら木さんは寝られているなのです」  …………。
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