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そうは言ってもこの索敵眼と言う力。実は実際に使用するのは初めてだと言っていい。
もちろん全く使用して無い訳じゃない。だが以前使用した時は相手が目視出来る状態での使用となり、今回目で補足の出来ない相手に対してはこの索敵眼の能力を用いたのは初めてだと言うわけだ。
━━結果を表示しますか?
もちろん。
因みに今回は声が聴こえる範囲にターゲットを30メートルに絞った。もし、こんな人口の多い町でこれを展開すれば間違いなく物凄い数の生態を補足しかねない。また小型の昆虫類も除外している。
━━頭上に番が、二時の方角に一羽。真下には特に無し。五時の方角に二名。九時の方角に一名。十一時の方角に六名・・・・・・となります。
━━以上が結果です。
鳥は普通の鳥だ。羽は全体的に黒く、尾がほんのりと白い。尾白鳥の番に違いない。二時の方角の鳥は全体的に翡翠色に輝き、胸の辺りはオレンジに近い色のジェイドバードだ。この鳥も人語等話せる種じゃない。
となると、五時、九時、十一時の方角に居る何れかの人が僕へ何らかの方法で話し掛けてきてると考えた方が良さそうだ。
よし、先ずは試しに五時の方角に居る人へコンタクトを取ってみよう。そうして僕が木から飛び降りて向かおうとした時、また例の不可思議な声が聞こえた。
「お主、何処へ行く気じゃ。そっちでは無い」
「…………」
……どういうことだ。
姿を現さないくせに、自分の位置を隠そうとしていない。
五時が違うなら、一度九時の方角へ行ってみよう。そう思ってまた木から飛び降りようとすると、再度同じように突然耳の奥へと声が響いた。
「じゃからそっちでは無いと言うておろう。私はすぐ後ろにおる」
後ろ?
バッ!?
慌てて真後ろを振り向いたが、そこには当然誰も居ない。ただ有るのはこの大きな木の幹だけだった。じゃあ、やっぱ残すは十一時の方角だな。
「おい、じゃから……」
また何か言おうとしていたが、今度は相手の戯言に構っている必要は無い。もう五時と九時の方角に人の気配は消えたようだ。なら、十一時の方角でかたまってる連中しかない。
その筈なのに……。
「「「きゃあああ」」」
「い”っ”!?」
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