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そんな馬鹿な……。
一体どうなってるんだ。十一時の方角の集団の目の前に僕は隙を突いて現れた。相手を上手く出し抜いたつもりだったのだが、僕の目の前には六名の女の子の集団しか居なかった。
勢い良く飛び出した際に風が生じ、華聯に揺れる白、黄、縞々の花々が露わとなった。六名のウチの三人のスカートの下の……やばっ!?
これは……大変申し開きが出来ない状況だ。
別の三名はショートパンツを履いていたらしく。今回の被害には遭わなかった。しかし、皆が僕の見る目は明らかに羞恥とお怒りが混じった複雑な表情をされているご様子だ。
やばいな、こんな場合どう誤魔化そうか?
「ちっくしょう、相変わらずお前はなんて速さだ!?」
「「「?」」」
「すいません、僕がテイムしているモンスターが少し言うこと聞かなくって。ご迷惑おかけしました。コラ待ちなさいシルビアっ!?」
そう言ったあと僕は瞬時に彼女を召喚した。彼女達六人の前にはプラチナロングのちょっとした美少女が現れた。
「ご主人様、一体何をおぶっ」
俺は彼女の口を慌てて塞ぐと、適当な言い訳をして取り繕うと試みた。
「すいません……こいつ走るのが超速くって、あははは」
「「「「「「はっ、はあ(汗)」」」」」」
ん、どうして彼女達はそんなに顔が青ざめて居るのだろう?
「何ぼ、おぼぼぼぼ」
「良いから来るんだこのお転婆がっ。そっ、それじゃあ失礼します」
ひとまず丁寧に一礼したあと、彼女達がまだ何処か別の世界にお迷いのうちに、僕はシルビアを抱えて飛び去った。
「いや、ごめんごめんシルビア。お陰で助かったよ」
「それは良いのなのです。けど、私は人間の姿で召喚されてますが大丈夫なのですか?」
「人間の姿……」
げげっ。
しまった。この間収納する時、人間の姿のままで戻したんだっけ。
すっかり忘れてた。
僕はさっきの光景を改めて浮かべた。テイムするモンスターと言っておいて、相手はプラチナロングの女の子。それを僕は無理やり口を封じて……そしてそのまま彼女達の目の前を飛び去った。
……これじゃあまるで人攫いじゃないかっ!?
そりゃあ彼女達の顔が青褪めるのも無理ない。
時間で換算すると、だいたい二十秒弱ってとこか。
彼女達の記憶があまり宜しくない事を祈るしかない(汗)
それにしてもだ、僕に語り掛けて来たのは……どう考えても男の人。それもかなりの年齢だと思われる。低くて、皺がれた声だった。しかしさっき僕が会ったのはいずれも十代の町の女の子達だ。
そう思っていた矢先、耳の奥にまた例の声が嘲笑うかのように鳴り響いた。
「ほぉっほおっほっほっ、おかしなことをする不思議な力を宿す少年よ」
!?
まただ、一体全体誰なんだっ!?
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