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*************** 入社して10年が経とうかという頃、中途採用でうちの会社にやって来た女性。 歳は俺と変わらず、会話の受け答えや他人との接し方から「頭のイイ人だな」と思ったのが第一印象だった。 サバサバした性格が自分に合っていて、一緒にいて疲れない空気は向こうも同じだったようで、俺達はごく自然の流れのように付き合うことになった。 そろそろ身を固めないのかという周囲からの無言の圧を感じ始めていたあの頃、一年ほど交際を続けたのち、たぶん俺以上にそれを感じていたらしい彼女とこれもまた至極当然のように籍を入れた。 互いの空気感や価値観が同じだと思っていたその人。 ――でも本当は、ある意味一番食い違ってはいけない部分が食い違っていた。 ***************
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