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*************** 同じ価値観を持つ人だと思っていた彼女との食い違い。 俺には子供が欲しいという願望はなく、 彼女はそれを強く望んでいたということ。 年齢的にそれほど早い結婚ではなかったのだから、考えてみればそれは当然の願いだったのだ。 なのに、お互いそういう行為に対して淡白な部分も相性がいいと思っていた俺は、子作りに対する考え方も似ているのだろうと勝手な思い込みをしていた。 できる時にできればそれでいい。 どちらかというと仕事や社会的キャリアの方を優先したい。 向こうもそれくらいの気持ちだろうと。 最初にもっとちゃんと話しておけば、お互い無駄な苦労をしなくて済んだんだよなと、今更のようにあたりまえの後悔をする。 その後の自分たちを思い返し、胸の中に広がる苦い味を吐き出すみたいな深い溜め息をついた。 ――ま、いいか。 彼女は望みを叶えたのだから。 ***************
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