魔王&ビーナス

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魔王&ビーナス

「これでもまだひとり暮らしをすると言うのか。ビーナス?」 「むむゥ、あのねェ……」  とんでもない交換条件にビーナスは頭を(かか)え込んだ。 「よし、では最後に吾輩のあとに続いて貰おうか?」   魔王は観客席に命じた。 「え、続くって、なにを?」 「吾輩が『いち、にぃの……』と掛け声をかけたら、みんなで『サンダー』と元気よく腕を振り上げるんじゃァ!」 「何それェ。新日のア○トニオ猪木か?」 「いくぞォ。いち、にぃの……」 「サンダー!」魔王の掛け声に会場が一体となった。 『カッ、ガラガラゴォォォォーーーーン』  その瞬間、ステージに閃光が疾走(はし)り抜け、天地がひっくり返るほどの雷鳴が(とどろ)いた。 「おおォーーーーッ」一斉に、観客もMC陣もどよめいた。 「キャァァァーーーーッ」  アシスタントの蒼井メロンや女性客たちも悲鳴を上げた。とんでもない演出だ。 「グワッカカカァッ。さらばじゃァ諸君!」  魔王は手を上げて大きく振った。 「もうジジーとはやっとられんわァ!」  ビーナスは裏拳でツッコんだ。  チャンチャン。  軽快な音楽で漫才をしめた。
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