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(あの日のライヴみたいだな)
高原の避暑地にあるログハウス。
窓際に置いたロッキングチェアから外を眺め、年老いた男、篤樹はそう思う。
春の嵐が、近づいていた。
木々の枝がたわみ、こすれ合う音。
そこに当たる降りはじめの雨粒が、弾かれたような軽い音を、無数に、細かくたてている。
(最初は、こんな小さな拍手だったっけ)
あの日、ちいさなライヴハウス。
ドームや大型スタジアムでのライヴも数多くこなし、日本を代表するオルタナティヴ・ロック・バンドとして名を馳せた彼のバンドが、大きく音楽性を変えたのが、そのライヴだった。
あの日の観客の拍手が、こんな感じだった。
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