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こうしてアナグマのシベルは、あれから独りで生きてきた。
この獣道を何度も通りながら。
そして、成長したアナグマのシベルはやっぱり孤独。
愛してくれる雌アナグマをめとる事も無く、ずーっとひとりぼっちだった。
「母さん・・・」
星が瞬く満月の夜空を見上げると、何処へ去っていった母アナグマやハンターに殺された父アナグマと兄弟を思い出して涙を流した。
「なーに泣いてるの?!アナグマのシベルちゃん!!」
「あっ!その声は!!」
アナグマのシベルは慌てて前肢で目の涙を拭いて振り向くと、後ろに1匹のテンを見つけた。
「テンのニフ君!?何でここに?!」
「ずーっとつけてきたんだよ。なーに今さっきから「孤独だー!」とか泣き喚いちゃって!!」
アナグマのシベルは思わず赤面した。
「見てたのね、テンのニフ君。ちょっとセンチになってた。」
「君は独りじゃないぜ?!俺達が居るじゃないか!!なあ、キツネのコンテ!!」
「コンテちゃんも居るの?!」
「なあ、アナグマさん。孤独なのはお互い様よ。」
「うん!みーんな孤独!!だから、皆で仲間!!」
キツネのコンテに寄り添ってタヌキのポンチが笑いながら声をあげた。
「私達も居るぞーっ!!」
更にその後ろから、皆笑顔でノウサギのネモフィラやカモシカのノッチとニホンジカのクガイ、そしてイノシシのブータローとツキノワグマのゴンタロウ達が一斉にアナグマのシベルに群がってきた。
「ねぇ!!皆して何処行くの?」
「アナグマのシベル君!!君も誘おうと思って!!ほうら。満月がこんなにも綺麗だからみーんなでこの獣道を散歩しようと思って!!」
「みんなぁ・・・!!」
アナグマのシベルは感嘆の声をあげて、そぞろ歩く仲間達に付いていった。
アナグマのシベルは思った。
・・・僕は決して独りじゃない。
仲間と歩く獣道。
皆と歩こう。
この一緒に生きる遥かな『道』を・・・
~これが僕の生きる獣道~
~fin~
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