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23話 メンバーを発表
学園の地下にある秘密の部屋に、ガーゴイルの仮面をつけた二人の男女がいる。彼らは手にワイングラスを持ち、園庭の様子が映し出されたモニターを注視していた。
*クリエイター視点
「闇の王様、アリアナとリンダが昇格したようです」
「そうだね~。まぁ、それぐらいは予想してたから問題ないさ」
「しかし、アリアナの潜在能力はかなり高いです。セシリア抹殺の計画にも影響が出るかもしれません」
「う~ん、ちょっとアリアナを戒めておこうかなぁ」
くそっ! まったく予想外だ。モブキャラにしておいたのに、こんなに強くなるなんて。しかも、マインドコントロールが効かないって、ちょっと問題があるぞ。何かバグが生じているようだな!
「上級魔物を出してやろう。そこにアリアナを誘導してダメージを与えようかな。その間に計画を進めるってことに。いいね、エリザベス」
「ははっ!」
「その後は王太子もね」
「お、王太子もですか? お言葉ですが彼は私と……」
ふん。王太子の抹殺は計画に含まれてなかったけど彼も同罪だ。二人とも何かをたくらんでるのだろう。まぁ、コントロールできないなら代わりを立てるまでだ。ハーリーを王太子に仕立て上げればいい。簡単なことさ。
「お前はハーリーと結婚し、王宮を乗っ取りなさ~い」
「捕らえてるハーリー様を次期王太子にするのですか?」
「ふふふ、この世界は私がいくらでも創造できるんだよ」
「かしこまりました。まずは、上級魔物を影で指揮いたします。アリアナを容赦なく半殺しに!」
***
豪快に跳ねたボブヘアにアレクちゃんを乗っけて、リンダと一緒に中級クラスの教室に入った。ここは初級クラスとは違い、広々とした空間だ。机が整然と並び、後ろには道場らしき場所もある。
あたしたちが加入して十六名になった生徒は、朝礼で担任のヒス女史の話を聞いていた。
「お前ら、よく聞け! 地方で上級魔物が現れて、政府から討伐の依頼が来た。急いで王太子を中心にしたチームを派遣するぞ。今回は中級クラスの何人かもサポートで行くからな!」
「えーっ」と教室がざわついた。上級魔物は人型と呼ばれ、知能が高くて凶暴と聞いている。
「上級って怖いよ。リンダ、見たことある?」
「ないよ。でも見てみたいな~」
「喰われちゃうよ!」
「おい、そこ! 静かにしろ!」
「ひっ! 怒られちゃった」
「では、メンバーを発表する。上級クラスは、ジョン・ウィリアムズ王太子とセシリア・ミラーだ。そして、我がクラスからは、ガレス、ソフィア、それにリックだ!」
「おおっ」と歓声が上がり、生徒たちが三人に拍手を送っている。あたしは選ばれなくて良かったと安堵した。
まだこのクラスに編入して間もないし、足手まといになるだけだから当然だよね。いや~よかった、よかった。うふふ。
「あ、言い忘れてた。王太子の推薦で追加で二人選ばれていたんだ」
「え?」
「アリアナとリンダだ!」
「ええーーっ!? ヤダ、怖いっ!」
「はい! 喜んで!」
「ちょっとリンダ、絶対ヤバいやつだって!」
「大丈夫よ、サポートだもん」
「ヤダーー! 何で推薦するのよ!」
こうしてあたしたちは上級魔物の討伐に向かうことになった。しかし、闇の王の罠が待ち受けていることはまだ知らずに──
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