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「勝手に作戦変更してしまいすみません。せっかくいろいろと考えてくださったのに」 「いえ、結果的に成就したのなら喜ばしいことです。おめでとうございます……私もまだまだ勉強不足ですね。科学的には説明できない、こんな恋の実らせ方があるなんて」  遠い目をする藍沢さんに僕は素直な気持ちを伝えた。 「たまたまですよ。アドバイザー歴40年の藍沢さんの作戦をちゃんと遂行していれば、きっともっと早くお付き合いできていたと思います」 「アドバイザー歴40年?」  藍沢さんがキョトンとした表情で肩をすくめる。 「え、その道40年っておっしゃってませんでした?」 「ああ……私は『その道』が『恋愛アドバイザー』だなんて一言も言ってませんよ?」 「え?」  意味が分からず首を捻ると、藍沢さんはしてやったりといった表情で続ける。 「河野さんの『生まれて32年間恋人が出来たことがない』という発言に対して『安心してください。私はその道40年です』と言ったんです。あなたよりベテランがここにいますよってね」  藍沢さんはなぜか格好つけてそう言った後、「アイスコーヒー2つ」と何事もないかのように注文をする。  そして未だ放心状態の僕に「それでは、今日の相談を始めましょうか」と言った。 「……え? いや、だから、終わりにするって言ったじゃないですか。もう当初の目的は達成できましたし」 「相談が必要なのはあなたじゃありませんよ」 「はい?」 「どうやったら彼女ができますか? どうか私に教えてください」
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