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 2回目の恋愛相談の日。例のカフェで今日は僕の方が早く着いて待っていると、藍沢さんは上品にハンカチで汗を拭きながら登場した。 「お待たせしました」  相変わらずの爽やかスマイルで対面に座った藍沢さんに作戦の成果を報告する。 「聞いてください! おかげさまで、デートの約束を取付けられました!」 「それはそれは。おめでとうございます」  僕は一言お礼を返した後嬉々として詳細を説明する。  前回の相談の翌日、勇気を出して昼休憩中の松本さんに話しかけた。藍沢さんの教え通り事前に準備した答えがYESになりそうな質問を5つ繰り返し、いよいよ次はデートに誘おうかという時、なんと松本さんの方から食事の提案があったのだ。  少し顔を赤らめた松本さんとトントン拍子で進むデートの計画。まるで夢のような展開に、僕の脳内はきっとドーパミンで大洪水だったことだろう。  まさかこれほど効果覿面とは。その道40年のアドバイス、恐るべし。 「では今日は、デートで距離を詰める方法についてでよろしいですね?」 「はい! ……そういえば、ちょうどそのことで相談がありまして」 「ほう、なんですか?」 「実は僕、女性と二人で食事に行くのは初めてで、どんな会話をしたらいいのかが分からなくて。趣味はオタクっぽいし、かといってプライベートで仕事の話をするのもアレかなって」 「なるほど」  藍沢さんは一つ大きな相槌を打った後口を開いた。
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