四章

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真っ暗な部屋で耳を澄ませると、微かにシンクからの水音が聞こえてきた。  カチャカチャと聞こえる音を聞きながら、目を閉じる。  国治さんが夕飯で使った食器を洗ってくれているのだろう。  私は食事、国治さんは掃除と大まかな分担を決めたのだけど、食器を洗うのは国治さんが率先して取り組んでくれる。  ワイシャツの袖を捲って、黙々と洗い物をする姿を見るのが好きだ。  時々視線に気づかれて目が合うと、ふっと小さく笑ってまた食器洗いを続ける姿が好き。  私はその瞬間、まぎれもなく幸せな気持ちになって満たされる。  そこには私たちの間にしかない、特別な空気があった。  同志で、皆を欺く共犯者で、あとは言葉にできない何か。  そのうちに水音が止まり、静かになる。  今日はもう、このまま眠ってしまおうと更にキツく目を閉じたとき。  少しして、ドアが控えめにノックされた。 「琴子さん。いまいいかな?」  寝たフリをしてやり過ごそうとしたけれど、国治さんには絶対に見抜かれていそうなので覚悟を決めてベッドから出る。  手櫛で乱れた髪を整えて、静かに深呼吸をしてからドアを開けた。  
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