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「こんな裏口を子供が通るわけがないでしょう」
「それに純白の羽って。そんなのがいたらまさしく有翼人の求心力になるよ」
「それより私と対等の指導者が欲しいんですが」
「寝言は寝てからお願いします。そんな奇跡はありません」
「……そうね。でも奇跡なんていらないわ。だって護栄様と浩然がいるんだもの」
「あ! 美星良いこと言った! 聞きましたか護栄様!」
「聞いてますよ。何でそんなに元気なんです浩然は」
護栄は浩然の前だと少し幼い。最初の頃は上司と部下のように見えていたけれど、あれはきっと取り繕っていたのだろう。
二人の自然な姿が見れるのは何だか嬉しかった。
(私は私にできることをやろう。侍女は目の前の辛いことを助けられる仕事なんだから)
ふいにばさりと羽音が聴こえた気がした。けれど鳥の姿はどこにも見えない。
もしかしたらさっきの純白の羽の子供は奇跡をもたらす天使で、呆れ果てて飛び立ってしまった羽音かもしれない。
けれど美星は振り向かず目の前の二人を追った。
二人と共に歩めば光に満ちた復讐が遂げられるのだから。
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