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「…椿さん、と言ったね。今日ははるばるようこそ。うちの愚息が君に随分と世話になっているようだが」
目の前にいる銀髪を撫で付けた鶴原さんのお父様ー浩平さんはそう言って運ばれてきたお茶を啜ると、私達を見つめた。
「は、はい。お仕事の面でも、個人的にも、お付き合いがあります」
表座敷にある座敷机を挟んで鶴原さんのお父様と向かい合うと、なおさら緊張感が増してくるのがわかる。
姿勢を正して今の気持ちを素直に話すと、鶴原さんのお父様はこちらを向いたまま腕組みをした。
「ーお父さん、前にもお話ししましたが椿さんとはいい加減な気持ちで付き合っていません。ー俺は、彼女とは結婚を考えてます」
結婚、の二文字に心臓がはね上がった。鶴原さんのお父様は唸り声を上げると、鶴原さんに視線をむけた。
「…廉二、すまないがしばらく彼女と二人だけにしてくれないか?」
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