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(父さん、一体何を考えてるんだ?)
襖越しに二人の会話を聞きながら、廉二ははらはらしながら事の成り行きを見守っていた。
みどりがお茶を下げにこちらに来るかもしれないと思ったが、会話の行方の方が気になり、締め切った襖を隔てた渡り廊下から一歩も動けなかった。中庭の鹿威しが音を立てる。
廉二は深く息をつくと、もっとよく会話を聞こうと、耳をそばだてた。
「…私は、鶴原さんをただ支えられる人間になれるかどうかはわかりません。ただ、あの人とは楽しい事も苦しいことも共有できる、そんな関係を築きたいと思ってます」
「共有?」
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