13.本家に挨拶

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「…二人が結婚について、生半可な気持ちでいるわけではない事はわかった。廉二が身を固めると言ってきた時は、素直に嬉しかったしな」 「お父さん、では…」 表情を緩めた息子に釘を指すように、鶴原浩平は眼差しを鋭くした。 「…最後まで聞きなさい。椿さんを家に迎えるにあたって、条件がある」 浩平はそう言うと、息子の隣にいる椿に向き直った。 「…これから週に1度は顔を見せに来なさい。どんなに忙しくてもな。それと、私のいう場所で茶の湯と外国語の稽古をする事」 そう言うと、浩平は立ち上がって表座敷の襖を開けると、大きく伸びをした。 「…夕食は食べていくだろう。みどりさんがご馳走を作ってくれたぞ」 そう言って大きな足音をさせて渡り廊下を横切っていく後姿を、二人は唖然として見つめていた。
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