14. 新たな日々と招かれざる客

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* 千代子の結婚式と披露宴を東京で行う事が決まり、会場の下見も兼ねて上京する事になったと連絡があったのは3日前の事。 横浜から列車で来た千代子とその家族を、椿は鶴原と共に内幸町にある帝国ホテルにて迎えることになった。 帝国ホテルのロビーでは、椿と千代子が久方ぶりの再会を果たし、千代子の婚約者である神戸メディカルの重役を務める梅澤氏が鶴原と名刺交換をしていた。 「…この度は誠におめでとうございます。私、『翠明堂』の宣伝部にて課長をしております、鶴原と申します」 「こちらこそ、ご丁寧に新作の香水を贈ってもらいまして。千代子がえらい喜んどりました」 色白で柔和な顔立ちの梅澤雄輔は、そう言って丁寧に礼を述べた。 それを聞いて鶴原はほっと胸をなでおろした。
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