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「どうしたんでしょうか?」
神妙な面持ちで客間を後にした二人の背中を見守った後、私とはるさんは顔を見合わせた。
「―急な商談でしょうかね。お仕事の時、旦那様は決まってあのお部屋で若旦那さんを呼んでお話をなさいますから」
*
「…大阪に出張を?」
「―ああ。おそらく今の事務所だけでは手狭になるだろう。大阪の宗右衛門町に物件があるそうだからお前に見てきてもらいたいんだが」
「宗右衛門町というと大阪の花柳界ですか…確かにカフェーも多いでしょうし、うちを利用してくれる女性客も多いかもしれません」
「勿論、事務所を立てる事になるのはまだ先になるだろうが、ひとまず視察も兼ねて2週間、だ」
「2週間!?」
「―現地の様子を私に報告してほしい。それから今週、うちに新しい弁護士が来ることになったんだが」
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