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運命の日 そして未来へ
今日はいつものように死ぬ日だった。
学校が終わると、なぜか妹が学校の校門前にいた。妹の中学校は家の近くにあるのに、2駅離れたこの高校前にいる。
「兄ちゃん…。」
妹は神妙な面持ちで、僕を呼んだ。
「なんで、ユイいるの…?」
「今日は歩いて帰ろう。」
僕はユイのことが理解できなかった。前はこんなことはなかったから。
「どうしたんだ。」
ユイと歩きながら話した。
「あたし、学校早退したの。兄ちゃんが心配だったから。」
その言葉はまるで、僕が死ぬということをわかっているようだった。
「なんで?」
ユイは足を止めた。
「あたしなの。時間を巻き戻したのは。」
「…え?」
「兄ちゃんに死んでほしくなかった。なのに、なのに。」
ユイは泣き出してしまった。
「兄ちゃんが自殺するなんて思ってもなかった。辛くさせたのはあたしのせいなの。ごめんなさい。ごめんなさい。」
「ユイ…。」
「あたしは、兄ちゃんに死んでほしくなかった!だけど、だけど兄ちゃんは何度も死んでしまうの…。だから、だからぁ、良かれと思って、時間を戻したの。なのに、そのせいで、兄ちゃんを苦しめてた。」
「そうだったのか…。」
ユイは号泣して、僕の胸でわんわん泣いた。
「ユイ、ありがとう。」
「え?」
「僕のために、僕が死なないために頑張ってくれて。」
「なんで、兄ちゃん…」
「今日は、死なないよ。」
ユイは涙も止まって、驚いた顔をしていた。
それから僕は歩いて帰った。死ぬ不安なんて一切なかった。
薄く曇っていた空はいつの間にか晴れていた。気持ちの良い快晴。
そんな空を見上げながら、僕はユイと家までの道を歩いて帰った。
その日、僕は死ななかった。
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