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2日前
私の兄ちゃんは変な人だった。
家族の誰とも性格が似てなかった。うるさいお父さんとも、心配症のお母さんとも、わがままなあたしとも。
兄弟喧嘩のなんてしたことなかった。
「ユイ、あげるよ。」って、いっつも兄ちゃんが譲ってくれてたから。
あたしは兄ちゃんのせいでわがままになった。
兄ちゃんはその日、部屋で本を読んでいた。でもその日は、他に何もしないで一日中本を読んでいた。いつもならどっかに出かけたり、勉強したりしてるのに。
あたしは兄ちゃんが好きだった。たぶん兄弟らしくはなかった。だってあんまり話はしなくて、他人が見たら仲がいいようには見えないと思う。
でも、兄ちゃんは優しかったから好きだった。
兄弟にしかできないこと、してあげればよかった。悩みだって聞いてあげたのに。
ねぇ、兄ちゃん。いつものようにあたしのわがままを聞いて。いつものように本を読んでいてよ。あたしの下手な手作りのお菓子を美味しいって、笑ってよ。
ごめん、兄ちゃんいつも、もらってばっかりで。まだ、何も返せてないのに。なのに、なのに。
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