可憐な少女は無邪気に笑う

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「……本題、でしょうか?」  唐突とも思えるお嬢様の問いに、控えめに尋ね返す僕。すると、 「――あら、とぼけるなんて人が悪いのね藍良(あいら)さん」  そう、揶揄(からか)うような微笑を浮かべて話すお嬢様。……うん、確かに分かっている。今夜――柑慈(こうじ)兄さんのいない今夜、僕がここに呼ばれた理由なんて……とうに分かっている。そんな僕の心中を察したようで、答え合わせをするように彼女は微笑を湛えたまま言葉を紡ぐ。 「――こうして柑慈(こうじ)さんの妻となり、私も立派な大人になったわ。だから――約束通り、抱いて下さるのよね? 藍良さん」    
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