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銀花姫 10
抵抗しようとしたボクの腕を乱暴に掴んで押し付けて、更に体をおおいかぶさるように固められて、脚も猛の足と体に挟まれて動かせない。
「雪・・・入れるぞ」
「待ってぇ」
「大丈夫、ゆっくりするから」
そう言うと猛が、ゆっくりとボクの小さな所からゆっくりと侵入してきた。
抵抗しようと思っていても、ローションで滑りが良くなっているせいか、猛のはゆっくりだけど確実に中に入ってきて。
想定以上の太いのが入ってきて、ボクは混乱して叫んでいた。
「たけるぅ・・・やぁ痛いっ・・・痛いっ!」
「ごめん・・・」
ボクが痛いって言うと、猛は腰を止めて、不安そうに心配そうに瞳を揺らすと、ボクの頭をそっと撫ぜてくれる。あまりに優しい指に思わず罪悪感を感じる。
本当は・・・痛くない。
ローションと、猛がさっき指でしてくれたから、痛くないのに。
あの太いのが入ってきてると思ったら、反射的に痛いと言ってしまっていた。
猛の太いのがボクの中に入りたそうに、ビクビクしているのが伝わってくる。
猛が苦しそうに眉根を寄せた。獣の目をしながら、全身で呼吸を吐き出す。
「痛いなら・・・・・・雪が嫌なら、やめる・・・」
「・・・っ!」
本当はしたいくせに。
本当は奥まで突っ込んで、めちゃくちゃにして、犯したいくせに。
猛はいっつも、そう。
いつもいつもいつもいつも。
ボクのこと最優先にして、自分のことは後回しで。
いつもいつもいつもいつも。
自分の気持ちを隠して、ボクの感情を優先することで。
逃げる。
本当はボクに言いたいことが一杯あるくせに。
ボクに対する欲求が山ほどあるくせに。
全部、全部、全部、全部、言わない。
『雪を大事にしたい』とか『雪が嫌がることはしない』とか。
耳障(みみざわ)りの良いことばかり言って、その実、猛はボクに本当の本音を言ってくれたことがない。
だからボクも、本気の本音を、言えないでいる。
こんなのは嫌なのに・・・喧嘩にもならない・・・本音も言えないなんて『恋人』じゃないよ・・・。
ボクは抜こうとする猛の腰を足で挟んで止める。
「大丈夫!・・・だから、して。ボクを好きなら・・・して」
「雪・・・本当に大丈夫か?」
「大丈夫だから!」
「・・・・・・わかった」
思わず泣きそうになりながら言い募(つの)るボクに、猛は何かを感じ取ったのか、それ以上は何も言わないで、涙目のボクの額にキスをすると、ゆっくりと腰を押し進めてきた。
太くて硬いのが体の中に侵入してきている感覚に、頭がおかしくなりそうだった。
こんな感覚・・・今まで知らなかった・・・。
大好きな人のが無理やり中に入ってきている恐怖と、大好きな人のがボクの中にいるという喜びと。
『この人』が、ボクを『好き』だという現実が。
ただ、嬉しい。
猛のがゆっくりだけども確実に中に入ってきて、ボクのお腹の中を圧迫して満たしていく。
今まで異物を受け入れたことなんかない所に、見たこともない大きさのものが、押し広げて入ってきて、硬くて長いのが奥深くを蹂躙(じゅうりん)して占拠する。
「・・・っつ・・・全部・・・入ったぞ」
猛はそう言いながら大きく息を吐き出すと、ボクの髪を撫ぜて労(いたわ)るように、何度も口吻(くちづ)けを繰り返す。
なんて言ったらいいのかわからない未知の感覚に、ボクは大きい呼吸を繰り返して、少しでも早く慣れようと、猛の背中を抱きしめながら、そっと腰を揺らす。
「動いて・・・なか・・・擦って・・・」
「・・・いいのか?」
猛が不安そうに眉根を寄せて、ボクの瞳を覗き込みながらきいてくる。
どうしてそんなこときくの?
抱いて欲しいって言ったのは、ボクなのに?
猛はずっと、ずっと、ボクを抱きたかったんじゃないの?
ボクが欲しかったんじゃないの?
ずっと・・・ずっと・・・こうしたいと思っていたのは・・・貴方のものにして欲しいと思っていたのは。
ボクだけなの?
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