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銀花姫 8
至近距離に近づいた雪が、真っ直ぐにオレの瞳を覗き込んで、真っ赤な口唇を震わせて、小さく、けれども叫ぶように声を絞り出した。
「本当に?本当に生まれた時から?その時からボクを好きだった?」
「なんだ?急にどうした・・・」
「じゃあどうして避けたの?なんで離れたの?」
一時期オレが雪を避けてしまっていたことを、雪はちゃんと理解していた。
当時は何も言わなかったけど、でもそれでも、気にしていたことがわかって、何だか少し嬉しい。
「それは・・・ごめん・・・」
「許さない・・・絶対許さない。ボクがどれだけ哀しかったか、わかってる?猛が離れてっちゃうのが・・・淋しかった、ものすごく怖かったか、ねえわかってる?」
「ごめん・・・あの時は一緒にいたら・・・雪にこういう事して、雪の気持ち無視して、傷つけちまうと思って・・・」
「してよ・・・!猛が離れるくらいなら、側にいてくれなくなるなら、乱暴にされたほうがマシだった」
「雪・・・?」
「好き、好きなの、大好きなの。・・・だから・・・傍にいて・・・何をしてもいいから」
雪の真っ赤な唇が震えている。
雪の真っ黒な大きな瞳から涙が落ちる。
「側にいて。離れないで・・・・・・離さないで」
雪の真っ白な指がオレの頬を撫ぜる。
「ごめん、雪、ごめん」
オレは何度も何度も謝って、雪に口吻けて、震える小さな舌を搦めて舐めて、そっと髪を撫ぜて。
雪が落ち着くのを待つ。
大きく呼吸を繰り返す雪に何度も好きだと伝える。
何度も謝った。
それで雪がオレを許してくれるのなら、雪がオレを好きでいてくれるのなら。
何度でも何十回でも謝る。
雪はオレがそうして何度もしつこく謝って、おかしいくらいに好きだと言い続けていたら、雪は嬉しそうに微笑んでくれて。
好きと囁いてくれた。
オレは優しく微笑んでくれる天使のような雪にキスを繰り返して、そっと体じゅうに指を這わせて、優しく撫ぜて、雪が気持ちいいと思ってくれるように。
雪がオレに興奮するところを、見たい。
少しずつ雪の呼吸が荒くなっていって、可愛らしいいやらしい口唇から、艶(なまめ)かしい吐息が吐き出される。
その唇を舐めて。吸って。
「雪・・・大丈夫か・・・?」
「うん・・・うん・・・」
そう言いながら小さく頷(うなず)いて、恥ずかしそうに伏せられた、長い睫毛(まつげ)を見つめる。
オレは思いきって雪の左足を持ち上げて肩にかけて、雪の後ろのほうをいじりやすい体勢をとった。
雪が少しびっくりしたように体を強張らせるが、抵抗しないでそのままにしてくれている。
オレは雪が抵抗しないので、そのまま露(あらわ)になった後ろの小さな穴に、太い骨張った指を、入れる。
「ひゃぁ・・・っ!」
反射的に雪が悲鳴をあげて、全身が緊張してオレの指をきつく咥(くわ)え込んでしまう。
無理に動かして痛くするのは嫌だったから、オレはそのままの状態で雪の体が慣れるまで待とうと思っていた。
雪は抵抗はしないけれども、恥ずかしいのか全身を赤く染めて、顔を見られたくないのかオレの首筋に抱きついてきて顔を埋(うず)めてしまい、早くて浅い呼吸を繰り返している。
そんな雪の頭を撫ぜながら、雪の中に入っている指を少しだけ動かす。
負担にならないように、本当に少しだけ揺らすように動かしただけで、雪の口唇から嬌声(きょうせい)が漏れる。
「ふぅあ・・・待ってぇん・・・!」
「雪、好きだ」
「うぁ・・・?」
「好きだ、大好きだよ・・・愛してる」
「そんなの・・・ずるい・・・」
ぼそりと呟いて・・・雪は更に力を込めてオレの首にすがりつく。雪の吐息が、熱くてじっとりと湿った吐息が、首に胸のあたりにかかって、ぞくぞくする。
ずるい・・・か・・・。
そう言われたら、雪にきちんと『好き』だと言ったのが、告白した時以来だったことに気がついた。
もしかしたらオレは、雪を不安にさせていたのかもしれない・・・。
だから雪はさっきあんな事を言って、いきなりこんな風に積極的に体の関係を望んだのかもしれない。
もしもそうだったら、それはオレの不甲斐なさのせいだろう。
オレはしがみつく雪の背中をそっと撫ぜながら、雪ががっちり咥えこんでいる指をゆっくり動かす。爪を立てないように、慎重にゆっくりと、優しく抜き差しを繰り返す。
「んっ・・・ぅ・・・」
「雪が好きだ、ずっとずっと、雪のことだけ好きだよ」
「たける・・・」
雪の中は熱くて、柔らかくて、オレの指を拒むように締め付けて、それでも奥まで欲しがるようにうねって搦(から)みついている。
オレの指が動くたびに、雪はビクビクと体を震わせながら、相変わらず首筋にしっかりとしがみついたまま離れない。
小刻みに震えている雪の背中を何度も撫ぜていると、雪が少し落ち着いたようで、大きく深い深呼吸を繰り返しながら、腕の力を抜いてオレから少し離れる。
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