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北条一政の一撃
場内アナウンスで残り二名だと伝えられた。やっとここまで勝ち残った。あと一人を倒せば英雄だ。最後の一人、いったいどんな奴なんだ。
俺は宮殿内を走り抜けた。すると薙刀を持った女性がいた。俺は少しずつ詰め寄りながら話しかけた。
「おまえが最後らしい。俺は北条一政。おまえは賞金首の片山理沙か」
「ええ、そうよ。女と思って甘く見ない方がいい」
「サバイバルゲームで最後まで残った奴を甘く見たりしないさ」
片山が薙刀を両手で握りしめて、天高く掲げてから振り下ろした。薙刀は間合いが広い武器だが避ければ問題ない。なぜ片山に誰も勝てなかったのか。
俺が片山の一刀を避けて近づくと、薙刀を持ち替えて横に移動させてきた。鋭い刃が俺の腹に近づいてくる。俺はぎりぎりの所で薙刀の刃先から距離を取ることができた。
片山が薙刀を使いながら前進してくる。俺は壁際まで追いやられた。
薙刀が頭上から振り下ろされる。俺は相打ちになることを覚悟して、全速力で走って間合いを詰めた。そして武藤を倒した時と同じように近距離から腹に掌底を喰らわそうとした時に、緑色の粉が宙を舞った。
突然、俺は目眩がして呼吸ができなくなった。なんだ。何をされたんだ。俺は攻撃する前にその場に跪いた。身体が痺れて動けない。
片山は薙刀を振り下ろした。俺は殺されると覚悟したが、刀は空を切り鋭い音を響かせながら地面についた。俺は地面に手をつきながら懸命に声を絞り出した。
「……俺を殺さないのか?」
「私は罪のない人間は誰一人として殺さない。しかし私の勝ちだ」
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