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日曜日になった。今日は花香と会う日だ。江里菜は白いワンピースで出掛けた。今まで休日はあの男性と会った記憶がない。大丈夫だろう。そう思ったが念のため、例の道は通らずに遠回りした。
K駅は会社に行くのと反対方向の電車に乗って二駅だ。着くと待ち合わせの場所で立って待った。花香はすぐに来た。小柄でフリルのついたワンピースは目立った。
「久しぶりだねー。変わらないね。子供は?」
「夫がみるっていうから、家に置いてきた。江里菜も変わらないよ。でも少し細くなった?」
「一人暮らしでまともな食事してないから」
「ちゃんと食べなきゃ駄目だよー。喫茶店どこに行く?」
「任せるよ」
花香の案内で新しい明るいカフェに入った。二人ともアイスコーヒーを注文した。
「江里菜の勤めてるO駅って有名な大きい会社がない?」
「そう。私、そこで派遣社員として働いてるの」
「へー。レストランとかカフェテリアがあるんでしょ」
花香は羨望の眼差しを向けた。
「うん。メニューがまた凄いんだ」
話は花香の子供の話に変わった。小学校五年生。微妙な年齢だ。
「写真見る?夫の同僚とキャンプに行った時の写真があるの」
花香はスマホのアルバムを江里菜に見せる。テントを張っている写真。釣りをしている写真。え?! 例の男性が写っている。
「この人……誰?」
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