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「今週中。間に合わなそうだったら言って。手伝うから」  今日は水曜日だ。よほどの仕事量でなければ大丈夫だろう。そもそも野口は無理な仕事を頼んで来ない。 「何をすればいいのですか?」 「新しい製品の部品をモデリングして組み立ててくれればいいの。似た製品があるからそれを基にして」  江里菜は頷いた。今やっている仕事があるのだが納期はまだまだ先だ。それに聞いた限り楽そうだ。 「分かりました。何かあったら訊きますね」 「ええ。良かったらランチをしない?」  江里菜は来るときにコンビニでおにぎりとサラダを買って来ている。降りる駅の目の前にコンビニがあるのだ。いつもデスクでお昼を済ませているが、おにぎりとサラダは夜に食べればいいだろう。 「いいですよ。社内のレストランですか?」 「ええ、あそこ新メニューがでたの。それを食べるのも目的だけど、佐藤さんに悩みを聞いてほしくて」  野口がこんなことを言うのは初めてだ。確かにこの会社は男性が多くて特にうちの課は機械設計ということで男性の比率は圧倒的に多いが野口には同期入社の三田玲奈(みたれいな)がいる。野口と三田はよく一緒にランチをしている。悩みを聞いてもらうなら三田のほうだろう。なにか江里菜じゃないといけない理由でもあるのか。 「私でいいんですか?」 「ええ。お願い」  話は決まった。江里菜は目を細めて頷いた。さあ仕事をしなければいけない。単身赴任の家賃も光熱費も稼がなくてはならないのだから。
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