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この会社はCADを使う分、モニターが大きいから一人分のスペースが多く取られている。大きいデスクはL字型になっておりモニターは二台使っている。集中して仕事をするのに最適な環境だ。
江里菜は野口に頼まれたモデリングをサクサクこなした。気が付くと十二時になっていた。江里菜は野口の席に行き、声を掛けた。
「レストランに行きましょうか?」
「あ、もうお昼? 行こう。行こう」
野口は立ちあがって先に歩いた。江里菜は後に続く。オフィスフロアを出て廊下を並んで歩いた。
「春だからかな。タケノコのバター醤油焼きとか鰹のガーリックバターステーキなんかがあるの。この会社のレストランってレベル高いよね」
野口は口角をあげて江里菜に言った。
「カレーでもナンの本格カレーでしょ。初めて行ったとき驚いちゃった」
江里菜はそう答えて野口に合わせて微笑んだ。
レストランのエリアに入るのもセキュリティチェックがある。社員カードを機械にかざす。その先はレストランとカフェテリアだ。コンビニもある。朝、買って持ってこなくてもここで済むのだが、江里菜は自分の席で食べているのでここまで来るのが億劫だった。
レストランは南側が全面窓で明るい。江里菜と野口は二人席に腰掛けた。メニューを見る。
「私はタケノコ。佐藤さんは?」
「私はエビと新じゃがのアヒージョにしようかな」
野口が手をあげて店員に注文する。黒いエプロンの店員は飲み物は食事の前でいいか訊いて来た。二人とも食前でいいと答えた。
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