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「だったら嘘なんかつかないでしょう。友達の家に寄るのに私は反対なんかしないもの」  それもそうか。だったら何故だろう。そうだ休日はどうなのだろう。 「ご主人、休みの日は家にいるんですか?」 「土日休みじゃないからね。でもいるにはいるかな。子供の相手はしてるみたい。公園で遊んだり、図書館に行って絵本を見てきたり」  それなら少しは安心だ。問題は仕事が終わった後か。探偵とかに頼むのが早いと思うが探偵を雇うと料金が高い。離婚前提なら慰謝料で元が取れるが野口は別れる気はないだろう。でも江里菜が無関係だということを証明しなければ。  何気なく柱の時計を見ると十二時五十分だった。お手洗いに行って化粧直しもしたい。そう考えていると野口が「そろそろ戻りましょうか」と言った。  お手洗いには戸棚が備え付けてあって生理用品や化粧品が収納できるようになっている。江里菜は自分の戸棚を開け化粧直しをした。野口が横に立って髪を梳かしている。野口は肩までのストレートヘアーだ。 「今朝も帰って来なかったの」 「え?」 「夫。離婚だけは絶対したくない。夫のいない人生なんて考えられないもの」  江里菜もそうだ。今は離れ離れに生活しているが、入社して一年経ったのだから、そろそろリモートワークにしてもらって夫と生活したい。若いときから睡眠薬を飲んでいるせいで子供は諦めているが、その分夫を愛そうと思っている。
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