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エピローグ
国家試験が終わった、三月の上旬。
近場のホテルで卒業式が終わった後、そのまま立食形式で謝恩会が開催されている。
「昴、卒業おめでとう。国家試験、受かってよかったな。一時期は学年最下位レベルだったのが、嘘みたいな伸びだったな~!」
江原先生は、ほろ酔いの赤い顔で、理学療法士国家試験の合格を祝ってくれる。
「ありがとうございます。……全部、江原先生が素晴らしい追加実習先を用意してくれたからです」
「そうか、そうか! やっぱり、あいつの情熱の炎がお前に燃え移ったな。いやぁ、昴の今後が楽しみだよ! 熊谷みたいになれよ~」
ガッと首に手を回してくる。
江原先生は酔っ払うと、ちょっと面倒臭いタイプらしい。
俺が酔った江原先生に絡まれているのを見て、面白そうに友人が寄ってくる。
「江原先生、飲み過ぎっすよ。……いや、でもなぁ。俺らも昴にはビビったよな」
「ああ、まさかこんな勉強するようになるとはな……。最後の模試なんか、校内一位だったしな」
「それに、最初の就職先が終末期なんだろ? 普通は急性期とか回復期が多いのに……」
「色々と予想外だよな。腐ってた時は、絶対に退学すると思ってたんだけどなぁ」
色々と言いたい放題な友人たちに、言い返してやりたいことは色々とあるけど……。
あの人なら、きっとこう言うだろう。
「――終わりよければ全て良し、なんだよ」
そうだ。
俺は理学療法士としてはスタート地点に立ったばかり。
それでも――学生の終え方としては、最高の旅立ちになった。
今度はその為に得た知識という手段を――患者さんの生活に、人生に向けるんだ。
自分の一生は、良い人生だった。
そう笑顔になる患者さんを、笑顔で看取れるように――。
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