恐い道

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 忘れよう。今の会話は忘れよう。  俺たちは並んで歩いてアパートまで帰宅した。  例の道に差し掛かると、そこにはパトカーと消防車が止まっていた。 「な、何だ……?」  俺は集まっていた近所の人間の群れから頭をひょいと出して様子を覗き込んだ。  アパートの前には、一台の壊れた車が止まっていた。車の中にはまだ人がいるようで、消防の人間が救助をしていた。 「また事故か」  そうだ。この道では、今年に入ってからもう五件も単独事故が起きている。そして、事故に遭ったドライバーが必ず口にする事がある。 「そこに、血まみれの人が立っていたからよけようとしてハンドルを切っただけなんだ」 ────了
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