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☆01. マスクを外さぬ小南紫奈子の事情。☆
ちょうど紫奈子が大学二年にあがった頃に時勢は一気に変化をした。マスクをするのが当たり前となり、感染症に怯える日々。名前も正体もよく分からぬ感染症のパンデミックはまるで見たことのない、よくも知らない、パニック映画の世界を思わせた。
学校は突然休校し、学校がようやく再開したのが六月。紫奈子は、自宅アパートでふさぎ込む日々を送っていた。
それからオンラインで授業を受講するのが当たり前となり、せっかく二年にあがったのに、綺麗な校舎のある学校へも滅多に行けず、クラスメイトとわいわい話す機会もなく。また、紫奈子はパソコンを持っていなかったがゆえに慌てて購入した。でないと、色々と不便だ。それまで大学のOAルームで好きなだけパソコンを使えたのに。しばらくはその部屋も閉室となった。
そして。――紫奈子に、重大な変化が訪れた。
それまでメイクは軽くする程度だったのだが。ストレスなのか、一気に吹き出物が出来て、顔中大変なことになってしまったのだ。……オンラインで受講するときも勿論画面はOFFにし。オンラインで飲み会があっても、絶対にマスクは外さなかった。
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