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☆00. prologue
「なんだ。……隠してるからどんなかと思ったら普通に可愛いじゃん」
目のくらむような、黒髪の艶やかな麗しい上司に言われ、正直に、小南紫奈子は戸惑ってしまった。
ここはいったい。そしてわたしは……。
知らない部屋で知らないベッドのうえで隣には、うえっ。紫奈子の同じ部署の上司であり課長である、松岡影一朗が、ベッドに膝をついて、紫奈子の顔を覗き込んでいた。
しまった……マスクはっ!?!?
松岡の言動を見て、自分がすっかり、マスクの存在を忘れていたことに気が付いた。慌てて手元を隠そうとする紫奈子の手首をそっと掴むと、松岡は、
「隠すこたねーだろ」と断言する。「おれは、……きみの素顔が見たかったんだよ……」
こんな素敵な上司に調教されたい。犬になりたい。わん。……いや、そんなことを妄想している場合ではなくて。
ごほん、とわざとらしく咳ばらいをする紫奈子は、顔を背け、マスク荒れがひどいので、と吐き捨てるように言い、
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