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破極流短刀術
「し……し、ぬ……」
翔吾がバタつかせている足を、エリリカは必至に掴んでいた。
「化物っ、放せ、放せっ! そうだ、何か武器……」
エリリカは、校則違反ではあるものの、カバンの中に護身用として脇差をいつも携帯していることを思い出した。
しかも、模造刀ではなく、真剣である。
「もう許せないっ!」
エリリカは、30センチほどの脇差をカバンから取り出した。
江戸時代から伊達家に伝わる業物で、手首くらいなら簡単に落ちてしまうほどの切れ味だと、祖父に教えられている。
「実戦で使うのは、初めてだけど。見せてやるわ、破極流短刀術!」
スラッ
藍と碧できらびやかに螺鈿細工に彩られた鞘を払うと、きらめく白金が姿を見せた。刀身と柄を押さえている目貫は、不動明王だった。
その短刀に、カラス人間は初めて、その黒い顔の中の黒い瞳の視線を注いだ。
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