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普通の人間じゃ、ない
「あんたねー、だらしないわよ!」
エリリカは、急に腹が立ってきた。
ピンチの時に、困った時に、その人間の真価が問われると、常日頃から師匠である祖父に教わっているのだ。
そして急に、斬の胸倉を掴み上げて、グイグイと締め上げた。
「く、苦しい……。何すんだよ」
エリリカよりも体の小さい斬は、まるで子猫を持ち上げるかのように軽々と持ち上げられた。
エリリカは、その男子の悶絶する苦悶の表情を見て、ふと我に返った。
「ご、ごめん。つい……」
パッと手を離すと、翔吾は、ストンと地面に落ちた。
彼は眉間に深い深い皺を寄せて、ハァ、と溜息をついた。
「お前さぁ、普通の人間じゃないんだから、もうちょっと気を付けてくれよ……」
エリリカは、幼少の頃からの武道修業によって、常人を遥かに超える「チカラ」を身に付けていた。
「ご、ごめん……。つい」
興奮してしまうと、自分を見失ってしまうクセがあった。
「……気を付けよう、な」
翔吾がそう言った、次の瞬間。
ーきゃあああああああああああああー!
ーお、落ちて来るぞ!
頭上から、何か猛烈に炎を帯びた「物体」が落ちて来る気配がした。
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